初診時(202○年8月)
「朝起きられない」「起こすのに1時間近くかかる」「起こせない日もある」という状態で来局されました。
中学受験を控えており、朝の不調を改善したいとの希望がありました。
初診時の主な症状
- 朝起きられない
- 起床に1時間近くかかる
- 食欲不振
- 空腹感はあるが食べられない
- 慢性的な下痢
- 疲れやすい
- 寝つきが悪い(入眠まで約1時間)
- 夜中に無意識に起きて歩き回ることがある
- 長時間座っているのがつらい
- 蓄膿症になりやすい
学校は月に2回ほど欠席していました。
胃腸の弱さが目立つタイプ
この症例で特徴的だったのは、
起立性調節障害の症状の背景に、胃腸の弱さと慢性的な下痢が存在していたこと
です。
- 朝食はフルーツやゼリー程度
- 慢性的な下痢
- 便の臭いが強い
- 食後の腹痛
- 食欲低下
など、消化吸収機能の低下が目立っていました。
また、エネルギー不足のため、
- 朝起きられない
- 疲れやすい
- 長時間座っていられない
という状態になっていたと考えられました。
治療経過
2週間後
- 全体的に元気になった
- 朝以外にも空腹感が出てきた
体力回復の兆しが見え始めました。
一方で、
- 寝つきの悪さ
- 慢性的な下痢
は残っていました。
1か月後
長年続いていた下痢が数日止まり、
便の状態にも変化が現れ始めました。
1か月半後
- 元気が出てきた
- 夜中に歩き回る症状が消失
自律神経の安定が進み始めました。
約2か月後
- 下痢は半分程度まで改善
- 学校を休まなくなった
- 朝の寝起きが短くなった
- 起床後すぐ動ける日が増えてきた
日常生活への支障が大きく減少しました。
約3か月後
- 腹痛消失
- 夜間の異常行動なし
- 便は3日に1回程度の軟便で、それ以外は正常便
- 学校を休まなくなった
- 朝6時30分に起床できるようになった
当初の目標であった、
「朝起きて学校へ通えるようになる」
という目的を達成することができました。
その後は来局されず、治療終了となりました。
この症例から考えられること
起立性調節障害というと、自律神経だけに目が向きがちですが、
このお子さんでは、
胃腸の弱さと慢性的な下痢によるエネルギー不足
が根本にあり、それが朝起きられない原因の一つになっていたと考えられました。
胃腸が整い、
- 食欲が出る
- 下痢が減る
- 腹痛がなくなる
につれて、
- 朝の起きづらさ
- 疲労感
- 学校生活への支障
も改善していきました。
漢方薬剤師からの考察
この症例を振り返ると、初期には体力を補う方向を重視していましたが、
慢性的な下痢と「お腹の冷え」へのアプローチを、さらに早い段階から徹底していれば、より短期間で改善できた可能性があります。
起立性調節障害のお子さんの中には、
- 朝起きられない
- 食欲がない
- 下痢しやすい
- お腹が冷えやすい
- 疲れやすい
といった「胃腸の弱さ」を伴うケースが少なくありません。
自律神経だけを見るのではなく、
「胃腸を立て直して体のエネルギーを作れるようにすること」
が、回復への近道になることもあります。